競争だと言われて、自分もその気になって競争意識を持って予備校で絵を描くかもしれません。
しかし、競争意識は逆に結果を残せないという実験結果があります。
ある実験では七歳から十一歳の女の子を集め、ふたつのグループに分け、それぞれにコラージュを作らせました。
一方のグループにはこれは競争であると言い、もう一方のグループには何も告げず自由に作らせました。
そしてできあがった作品をプロの芸術家たちに見てもらい評価してもらった結果
競争だと言われた子どもたちの作品のほうが単純で、自由な発想に欠け、条件を与えられなかったグループよりも、驚くほど創造性が低いことがわかったというのです。
テキサス大学のロバート・ヘルムライク教授は、自然科学の分野で博士号を持つ人百人以上の著作を調べました。
その結果、専門分野への興味や自分で決めた目標を重んじる研究者のほうが、競争を重んじる研究者よりも、質の高い仕事が多いということがわかったそうです。
ヘルムライクによると、航空機のパイロット、予約代行業などそのほか九つの職業でも、同じパターンが見られたとのことです。
これは、特に芸大受験では顕著な例だといえます。
例えば、予備校に行くと分かると思いますが、競争意識をむき出しにして絵を書いている人のほうが、意外と努力している割に芸大に落ちてたりしているのを見ませんか?
また、一次試験に受かった瞬間から、急に競争意識が湧いてきて二次試験で結果を残せないひともよくいます。
本当は逆に最後まで(試験が終わるまで)気を抜き続けて自由な発想で書き続けられた方が受かるかもしれません。
現役生の落ちる原因は実力不足で、浪人生が落ちる原因は競争意識によって自由に絵が描けない事だとも言えます。